
「パグパグ」って何?
誰が食べるの?
どうやって作ってるの?
こんな疑問を持つ、スラムでの食事事情について知りたい方にオススメの内容です。
こんにちは、うっきぃです。
マニラでは住民の半数に上る1,100万人もの人がスラムで暮らしているといます。
フィリピンには東洋最大のスラムがあり、日本人の想像をはるかに越える貧困が問題になっています。
そのスラム街に住む人達の中で、さらに底辺の生活を強いられている人達がいます。彼らがどれほど劣悪な環境の食事をしているか調査しました。
この記事で分かるのはこんなことです。
- 「パグパグ」は極貧民の食事
- 「パグパグ」の材料を探す仕事
- 「パグパグ」の調理方法
それでは、さっそく見ていきましょう。
「パグパグ」は極貧民の食事
「パグパグ」とは、廃棄された生ごみを再調理した料理のことです。

灼熱のマニラで、生ごみを漁って食べ物にするなんて考えられない!
「pagpag(パグパグ)」とはタガログ語で「汚れを振り落とす」という意味があります。
文字通り、廃棄された残飯から食べられる部分を選別することを示します。

映像にもあるように、ゴミ捨て場にはネズミやゴキブリがウヨウヨしてるよ。
炎天下で雑菌も繁殖しまくってるのは言うまでもないよね。
腐った生ごみの強烈な悪臭、大量のハエやウジ虫もわいているいる中、紙コップなどのゴミと米や肉などの残飯と分けるんです。
飢えをしのぐためとはいえ、そんな残飯を食べなければいけないとは、一体どんな人達なのでしょうか。
「パグパグ」を食べる人たち
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パグパグを普段の食事としているのは、スラムの中でも最下層の人たちです。

スラムの中でもさらに貧富の差があるの。
スラムでも学校に行ける人もいるんだよ。
家族の全ての収入を合わせても食費をカバーすることが出来ず、捨ててあるものを食べるしかにない人たちがいます。
それは「Scavenger(スカベンジャー)」と呼ばれるゴミを回収して生計を立てている人達で、その最低層は人口の6.5%に上ります。

スカベンジャーはペットボトルなどの資源ごみを1日中探し続けて、50~100ペソ(約115~230円)の収入を得てるよ。
マニラの最低賃金は1日537ペソ(約1,230円)なので、その過酷さが分かりますね。
さらにロックダウンでレストランやショッピングモールが閉鎖されてゴミが出ず、収入が全くない状況に陥っています。
1995年に世界中で知られたゴミ山「スモーキーマウンテン」がフィリピンの対面を守るために閉鎖され、ゴミ山の住人が強制退去させれました。

仕事を得られる教育を受けてないスカベンジャーは、別のゴミ山に移り住むしか生きるすべがないんだよ。
そしてスモーキーマウンテンのあった場所からすぐ近くのゴミ山に「ハッピーランド」と呼ばれるスラムが出来ました。すぐ近くでは高層ビルが立ち並んでいるのに、対極のスラム街が東京ドーム9個分も広がってるなんて考えられませんよね。

結局、ハッピーランドは以前の「スモーキーマウンテン」と同規模になってしまっているんだよ。
「ハッピーランド」は元々、海に投棄されたゴミや死体の上に出来た場所なんです。
なので、タガログ語で「ゴミ屋敷」という意味の「Hapilan(ハピラン)」と「ゴミがある事が幸せ」との皮肉を込めた意味で「ハッピーランド」と名づけられました。

ハッピーランドの中でも特に酷い生活をしている人たちが住んでいる地区が「Brgy.(バランガイ)105」で、2万3,000人もの人が住んでるよ。
2002年から15歳未満のスカベンジャーは禁止されるようになりました。子供達の収入も絶たれ、ますますスラムの貧困層が追い詰められている状況です。
パグパグを食べることによって食中毒だけではなく、A型肝炎やコレラなど死に直結する病気になるリスクも高いんです。
ですが大家族の彼らにとって、生きていくためには危険だと分かっていてもパグパグしか食べるものがありません。
「パグパグ」用の残飯を探す仕事
驚くべきことに、パグパグを作るスラムの食堂に販売するために、残飯を収集する仕事があります。
大人は勿論のこと、スカベンジャーが出来ない子供が、大人のバイクに一緒に乗せて貰って残飯を集めています。
ジョリビーやマクドナルドなどのファストフード店やスーパーマーケットのゴミ捨て場から、資源ごみと残飯をより分けます。
大人はプラスチックごみなど単価の高いものを集め、子供は廃棄されたご飯や肉を集めるんです。

子供の収入は1週間でわずか6ドル(約656円)しかないよ。
国民の20%以上が1日に1ドル以下で生活しています。学校にも行けず、こうして必死に食べるために生きていますが、トンド地区の子供の8割近くが栄養失調の状態です。
お腹だけが不自然に膨らんだ子や、極度の栄養不足で身長が伸びず、この地区の子供たちはフィリピンの子供たちの平均身長より11センチも小さいという統計があるほどです。
「パグパグ」の調理方法
we always tell children to finish their meals because “children around the world are starving.”
in reality tho, slum children scavenge leftover chicken from fastfood chains and garbage bags. so idk, maybe we actually should be leaving out more of our chickenjoy for them. #pagpag pic.twitter.com/DzfvNQ6MGf— Weanne Estrada (@WeanneMyrrh) February 4, 2018
サリサリストアや食堂で、収集された残飯を1袋50セント(約55円)程度で購入します。
»【フィリピンのサリサリストア】人気のヒミツと経営に失敗する理由
残飯を水で洗浄した後、殺菌するために茹でたり揚げたりします。その後玉ねぎ、ニンニク、コショウなどのスパイスを入れて伝統料理アドボを作って販売します。
下の動画のように調理された「パグパグ」が1袋20~30ペソで販売されます。毎日多くの人が買い求めに来るというから、悲しいですが需要の高さが伺えますね。
最下層の低所得者たちが口にしなければいけない「パグパグ」は、人間として最低限の衛生状態すら守られない食事です。
貧困層にパグパグが定着していることが問題になっていますが、食べるしか生きていくすべがないという現実が辛すぎますね。
まとめ
過酷すぎる生活を強いられている、スラムの人たちの日常的なリサイクル料理「パグパグ」について詳しく見てきました。
目を覆いたくなるようなパグパグについて、最後におさらいしてみましょう。
- パグパグはタガログ語で「汚れを振り落とす」という意味
- パグパグは残飯を収集して再調理したもの
- スラムの中でも極貧民だけが食べる料理
- 残飯を集める仕事がある
- 危険だと分かっていても食べるしかない
フィリピンには日本のような生活保護制度がないため、貧困家庭はその日をなんとか生きていくだけで精一杯です。
同じ母親として、子供たちのこんな食事しか与えられないというお母さんたちの悲痛な叫びは胸を打ちました。
筆者はトンド地区のお子さんの里親サポーターとしてわずかですが支援をしています。学校に通うことで負の連鎖から脱出できることを願っています。
貧困層の年収や家族制度についてはこちらの記事に詳しく載せていますので、合わせてごらんください。
»【フィリピン平均年収】日本の10分の1は当たり前!貧困層のリアル
»フィリピンの家族愛は奴隷制度?子供を洗脳して寄生する家族の実態!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。