
どうしてゴミ山が出来るの?
どうしてゴミ山がなくならないの?
スカベンジャーの生活はどんな?
こんな疑問を持つ、フィリピンのゴミ山事情について知りたい方にお勧めの内容です。
こんにちは、うっきぃです。
フィリピンには、リゾート地のセブや大都会のマニラを始め1,000ヶ所ものゴミ山があることをご存知でしょうか?
人間としての尊厳を無視される貧困層の現状を知り、お父さんがゴミ拾いの仕事(スカベンジャー)をしている男の子の里親サポーターになりました。
今回は、彼らの様にゴミ山(ダンプサイト)で過酷な生活を強いられている人たちにスポットを当てて行きます。
この記事で分かるのはこんなことです。
- ゴミ山が出来る理由
- ゴミ山がなくならない理由
- スカベンジャーの現実
それではさっそく見ていきましょう。
ゴミ山が出来る理由
日本では考えられない理由でゴミ山が出来ています。その理由がこちら↓↓↓
- 焼却施設がないから
- 私有地をゴミ収集業者に貸すから
- ゴミ収集場を放置して移動するから
どういうことなのか、詳しく解説していきます。
焼却施設がないから
資金不足で、有害物質の出ない高度な焼却施設を持てないからです。
日本ではゴミの8割が焼却処理され、残り2割はリサイクルされていますが、フィリピンでは焼却施設が使用できません。
フィリピンにも以前は焼却施設はありましたが、設備が整っていないため大量のダイオキシンが発生し、使用が禁止されるようになったんです。

それで収集場に運ばれて、大量のゴミを放置するしかないのか。
ゴミが増えれば押し固め、その上にさらにゴミを載せることを繰り返します。その結果数十メートルもの高さにの山が出来るのです。

マニラのメインゴミ収集場「パタヤス・ダンプサイト」では、1日に500台以上ものゴミ収集車が集まるというからその量も計り知れないね。
私有地をゴミ収集業者に貸すから
家が建っていようと、土地の所有者がゴミ収集業者に貸せば、その日からそこはゴミ捨て場になります。
日本では到底考えられないことですが、フィリピンではごく当たり前の光景なんです。

ある日突然、ゴミ捨て場の中に自分の家が埋もれてしまうってこと⁉
ゴミ山に住む人には「住んでいた場所がゴミ山になった人」と、「ゴミを求めて移り住んできた人」の2通りあるということになります。
そしてゴミ収集場にも行政が管轄する『パブリック』と個人の持ち物の『プライベート』の2種類があります。

パブリックには事務所があって、役場のゴミ収集車しか入れないの。
パブリックで受け入れきれないものをプライベートが請け負うよ。
プライベートでは、ゴミ収集トラック1台につき1,000円ほどでゴミを捨てることが出来ます。
個人がビジネスとしてゴミ捨て場を経営しているのです。
ゴミ収集場を放置して移動するから
ゴミが増えすぎて捨てられなくなったら、その近くや山岳部にゴミ収集場が移動します。
以前のゴミが放置されたまま次が出来るので、ゴミ山が増えていくことになるんです。

2000年7月にパタヤスのゴミ山が崩れて、1,000にも上る犠牲者が出る大事故があって閉鎖になったよ。
ですがその年の11月にはすぐ近くでゴミの受け入れが再開しています。

入場は居住者のみで50ぺソで発行されたIDカードが必要になったけど、根本的な解決にはなってないよね。
ゴミ山がなくならない理由
フィリピンからゴミ山がなくならない理由は大きく三つあります。その理由がこちら↓↓↓
- ゴミになるものが多いから
- 雇用が生まれるから
- 環境への認識がないから
それぞれの理由を詳しく見てみましょう。
ゴミになるものが多い
その日暮らしの貧困層用に、全てが1回分用の個包装で販売されているからです。
洗剤にしても、歯磨き粉にしても少量の個包装で販売するために、どうしてもゴミが増えてしまいます。

タバコも1本から買えるのがフィリピン流!
それが更に貧困から抜け出せない原因になっている、サリサリストアの詳細についてはこの記事で分かるよ↓↓↓
≫【フィリピンのサリサリストア】人気のヒミツと経営に失敗する理由

雇用が生まれるから
ゴミ山があることで様々な雇用が生まれる現実があります。
東洋一のスラムと言われたスモーキーマウンテンには、1960年代からゴミが集められ、200万トン以上、高さは50メートルにも及びました。

25,000人以上の人がゴミを拾って生活していたんだよ。
当時は1万人がすんで、学校まであったというから驚きだね。
ゴミ拾いをする多くのスカベンジャーだけでなく、警備員や管理員、その周辺にはゴミを買い取る業者などたくさんの仕事が生まれます。
もしゴミ山がなくなれば、失業してしまった人たちに政府は仕事を与えることが出来ません。

仕事がなくなれば、生活のために強盗やスリなどの犯罪が増えることになるもんね。
こういった理由から、簡単にゴミ山をなくすことが出来ないという悲しい理由もあるんです。
環境への認識がないから
スラムにはゴミの分別どころか、ゴミ箱すら存在しません。それどころか、ゴミ収集すらない自治体も存在するのです。
ポイ捨てが当たりまえの社会で育ったため、ゴミを捨てることによって汚水が溢れ、結果自分たちを苦しめるという教育を受けていないんです。
富裕層ではキチンとした知識を持ち分別されていますが、大部分の環境への意識が低すぎるため全くゴミが減らないのです。

竹のストローや、紙コップなど一部で環境への意識が芽生えつつあるけど、まだまだ浸透するには時間がかかりそうだね。
人口増加でますます増え続けるゴミへの意識改革が、何より重要な課題と言えそうです。
スカベンジャーの現実
出稼ぎに失敗してスラムに流れ着く
地方から都会に仕事を求めて上京したものの、仕事を得ることが出来ずスラムの住人になってしまう人が後を絶ちません。
筆者が支援するブンソイの両親も貧農村出身で、マニラのトンド地区で3,000人ほどの集落に暮らしています。

フィリピンではマックのバイトでさえ大卒じゃないと働けないの。
私が高校からマックでバイトしてるって大学の友達に言ったら「大手じゃん!」って全員どよめいたよ。
学歴で仕事が決まるフィリピンでは、田舎から出てきてもまともな職にありつくことは出来ません。
仕事を得るためにLGBTではなくてもニューハーフの道に進むという人もいます。豊胸手術だけして、お金がたまったらまだ男性に戻るんです。詳しい解説はこちら↓↓↓
≫【フィリピンLGBT事情】本当に同性愛者やゲイにオープンなの?
彼らのような出稼ぎ者がどんどん膨れ上がり、マニラの人口約1,348万人(2020年フィリピン国勢調査)の半数にも及ぶ人がスラムに住むことになっているのです。
そして、日雇いの仕事より安定的な収入を得られるスカベンジャーになっていくのです。
スカベンジャーの収入
スカベンジャーをしているブンソイのお父さんの日給は150ペソ(約340円)ほどです。

フィリピンの最低賃金が日給で約1,000円。
その3分の1での生活を強いられているんだね。
ゴミの1㎏あたりの買い取り価格は以下の金額になります。
プラスチック | 10円 |
空き缶 | 30円 |
ペットボトル | 25円 |
段ボール | 40円 |
紙 | 10円 |
金属 | 150円 |
猛暑の中、1日12時間ゴミを拾い集めても月収で約10,000円程度にしかなりません。このような最貧困層世帯の割合はいまだに人口の25%以上を占めます。
フィリピンの平均月収20,000~30,000円(富裕層を除くリアル平均)には遠く及ばないんです。
»【フィリピン平均年収】日本の10分の1は当たり前!貧困層のリアル


家族3人で最低限の生活をしても月3万円は必要だよ。
ツケ払いや1ヶ月20%もの高金利で返す当てのない借金をするしかないの。
スラムの中の貧富の差
スラムと一口に言っても大学に通う子もいますし、水道や電気の通っている家庭もあります。
水道や電気のメーターを付けるのにも2~3万円かかるため、ほとんどの家庭ではゴミ山の汚水が流れ込む井戸水を使っています。

当然、健康被害に悩まされるよね。
スラムの中でも最下層の人たちは、まともな食事を摂ることが出来ず生ごみをリサイクルして調理した残飯を食べています。
»【フィリピンスラム】残飯?食べ物?極貧民の料理「パグパグ」に驚愕

廃材を集めて作った3畳ほどのスペースで家族がひしめき合って暮らしています。当然、トイレもシャワーもありません。
そのような最下層の人たちの仕事がゴミ拾いなんです。親がゴミ拾いをしていたら、その子供の仕事もゴミ拾いになってしまいます。
ドキュメンタリー映画で彼らの生活がリアルに紹介されています。詳しく知りたい方はこちらの作品がおススメです↓↓↓

その負の連鎖を断ち切ろうと、ブンソイの夢である「兵士になりたい」を叶えるために里親サポーターをしているよ。
ですが、現実はそう簡単ではないようです。
里親サポーターに出来ること
将来への希望と、遠いどこかで自分たちを応援してくれる人がいると生きる活力を持ってもらうことだと感じています。

手紙やカードのやり取りや、年に3回プレゼントも送れるよ。
サポーター側も成長を感じれる交流は癒されるの。
認定NPO法人アクセスで小学生のブンソイの里親サポーターをしています。
サポートが終了する高校卒業するまで支援すれば、お父さんと同じスカベンジャーの道を歩まなくていいと思っていました。
ですが実際は、ブンソイの両親の学歴は高卒です。それでもお父さんはゴミ拾いをしているのです。

フィリピンは人口増加の一方だし、ブンソイが大人になる頃にはもっと就職が厳しくなってるだろうね。
毎年1割近くの里子が、サポートを打ち切りになるケースがあるといいます。それは両親の離婚や家計を助けるための就労で学校を中退するからです。
サポーターには学校でかかる費用を負担する程度しか出来ません。金銭的な援助は少なくても、未来への希望を持てる存在にはなれるのではないかと感じています。
まとめ
フィリピンのゴミ山事情について、またそこで働くスカベンジャーについて詳しく見てきました。
最後にゴミ山がなくならない理由について、ポイントをおさらいしておきましょう。
- 高度な焼却施設がない
- 私有地をゴミ収集業者に貸す
- ゴミ収集場を放置して移動する
- ゴミになるものが多い
- ゴミ山は雇用が生まれる
- 環境への認識がない
先進国が一刻も早くリサイクル技術やゴミ焼却技術を指導・援助することが急務です。
そして国民のゴミへの意識改革を早急に進めることで、自分たちの生活を改善できるという教育も必要です。
ゴミ収集場は順次閉鎖され、公園などの公共施設やマンションの建設などイメージを改善するために開発が進められ始めています。
以前はパヤタス地区の30%近い人口がスカベンジャーでしたが、今はその半数に改善されています。
スカベンジャーたち全員が今の生活から抜け出せる日がいつか来ると希望を持ちたいですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。